エイリアンズ&A Bao A Qu

ユーロスペース2 21:00 約170名 オトコ6:オンナ4 若い


さて藝大映画週間開幕ということで初日に駆けつけてみると満席・立ち見。まず渡辺裕子監督『エイリアンズ』はラストのサイドカーとヘルメットの使い方に疑問を感じた。記憶喪失くらいで人間の性格は変わったりはしない、という至極当たり前の話を35分費やして観た気分。


加藤直輝監督『A Bao A Qu』はことごとく間違えている。登場人物は相手に対して正当な対価を払うことはせず、矛先を間違える。男性編集者は送付された原稿を未読のまま小説家との打ち合わせに臨む、その小説家は通り一遍の話が聞きたいだけの女性インタビュアーに主義主張を語ってしまう、その作家の小説は定価を支払われることなく少年に万引きされ、その少年は兄をモデルとした小説家本人ではなく、その恋人を殺害する、という具合の大盤振る舞いなので、この間違いぶりは確信犯なのだろう。ではなぜ間違えるのか?


通り魔が相手を襲うのに正当な理由なんかない、手当たり次第だからというのもあるかもしれない。しかしより根源的にそれは当日券が600円だからだろう。商業映画館の一般入場料金の3分の1とは不当なダンピング以外の何者でもない。学校映画だからでしょ、というのは理由にならない。同劇場でこの後上映される「映画美学校セレクション」なるものは当日1000円である。更に今回上映される6名の中には公開待機作を抱える者も複数いるからには彼・彼女らはすでにプロですらある。


新生児に落ちるTVは液晶やプラズマではなくブラウン管だった。作品に満ちる間違いぶりが不当な値付けにインするなら(予感としても成立するので順序は問題とならない)、私はこの姿勢を支持しよう。