ラザロ・朝日のあたる家

ポレポレ東中野 21:10 約50名 オトコ6:オンナ4


試写で井土紀州監督『ラザロ』を観た際には、ほとんど休憩なしのぶっ続けだったので3本目に上映された「朝日のあたる家」に関して注意力を欠いてしまった部分があったようだ。


怪物たる主人公の名はマユミという。なぜカタカナ表記にしたのかは知らないが、漢字なら「真由美」が順当だろう。世間が称揚するものとして「真・善・美」という左右対称な漢字で構成される価値基準がある(これはワールドスタンダードでもあろう)。その三文字から善を抜き去り、一地方の地味な女性事務員という田んぼな存在が、紛れもない悪として、出る杭として、すくりと一本立ちする様が見事に描かれた作品である。観て、感じて、立派に悪に染まって欲しい。