木のない山

シネカノン有楽町1丁目 21:15 約200名


本日閉幕したフィルメックス、全部で6プログラム鑑賞したのだが最後に見て最も動揺させられたソヨン・キム監督『木のない山』からご報告。
この作品、鑑賞予定はなかったのだが、前日に観た友人から「傑作」とのメールを受け、急遽駆けつけたのだ。そしてその言葉に間違いはなかった(審査員特別賞も受賞しました)。
私が観た回はレイトショーということでか舞台挨拶のみだったのだが、Q&Aに立ち会った友人からの情報を交えながら以下ご紹介。


幼い姉妹(6歳と3歳くらい)が母親の元から、次第に恵まれない環境に転落していくお話なのだが、この姉妹が素晴らしい。特に妹がルックス的に言って全く可愛くないところが良い。恐らくオリジナルと思われる歌(と踊り)はメチャ可愛い。つい実際の姉妹だろうと思ってしまうのだが、そうではない上、妹の方は孤児院でスカウトしたと聞いて驚いた。


幼児は大人に比べて視角が狭い上、身長の関係もあり、文字通り視界が狭いと聞いたことがある。その視界の狭さを現した撮影も良かった。シナリオを読ませるのではなく、監督が口立てで演出を行うスタイルで、その結果40時間分フィルムを回したそうだ。
監督のソヨン・キムは映画学校に行った経験はなく、夫(=ブラッドリー・ラスト・グレイ監督、SKIPシティのデジタル映画祭で『ソルト』が新人監督賞受賞)の作品で美術を務めていたのがきっかけで監督に挑んだ2作目。処女作の「In Between Days」はサンダンス映画祭で審査員特別賞(?)を受賞。


この『木のない山』、アメリカではビースティ・ボーイズが配給を担当するというのもビックリ。日本で公開されれば動員もイケルと思う。
機会があったら是非是非観て下さい、本格的な不景気に突入する状況下、『蟹工船』より絶対観る価値アリ!(旧作も新作も観たことないけどね)