河内山宗俊

河内山宗俊』、ご来場戴いた皆さま、ありがとうございました。
今週も200名様を越える方々にご覧いただくことができました。
懸念していた上映素材の状態ですが、音声に聴き取りづらさはあるものの、私の接した限りではおおむね好評をもって受け入れて戴けたので、ひと安心しました。


さて土曜日からは山中貞雄の遺作『人情紙風船』の上映です。
関東地方は梅雨入りしましたが、この作品でも雨が重要な契機となり、またその晴れ間の強烈な日差しを堪能できます。
初日の西山洋市トークもぜひお楽しみ下さい。1,2回目に立ち会われなかった方、そこまでのレジュメが当日ロビーに設置してあります。お手にとって今までの流れをご確認戴けるとありがたいです。


ではここで『河内山宗俊』に続き、山中貞雄とタッグを組んでいる前進座について豆知識を陳列しておきます。
1931年に伝統的な歌舞伎界に抵抗する形で誕生した団体で、命名者は前衛芸術家として知られる村山知義氏、『人情紙風船』の冒頭に提示される座のシンボルマーク(矢と盾が合体したもの)をデザインしたのは伊藤憙朔氏(映画美術監督としても高名で、木村威夫氏のお師匠さんです)。


今回の特集では上映しない、オリジナル版『戦国群盗傳』(37年/滝沢英輔監督)や『元禄忠臣蔵』(41-2年/溝口健二監督)にも出演しています。
日活との間では山中貞雄稲垣浩内田吐夢田坂具隆の4監督の作品にしか出演しないという契約があったそうです。


ちなみに『人情紙風船』のキャスティング、河原崎長十郎中村翫右衛門の役どころが当初の予定から入れ替わったことが、山中の当時の発言から判ります。
夫婦役の河原崎長十郎と山岸しづ江って実際も夫婦で、この作品の前年に結婚しているのでした。河原崎長十郎河原崎長一郎や建三の父上です。


現在『週刊モーニング』に掲載中の「かぶく者」(原作:デビッド宮原 漫画:たなか亜希夫)に登場する尖鋭座って、フィクション化が施されていますが、どうみても前進座がモデルですね。
とりとめないですが、とりあえず今回はこんな感じです。