河内山宗俊

川崎市アートセンター 14:45 約120名 オトコ6:オンナ4


全国コミュニティシネマ会議の中で行われた「生誕百年 映画監督 山中貞雄」シンポジウム、パネリストは青山真治廣瀬純クリス・フジワラ西山洋市の4氏。
このシンポジウムの発案および人選は青山監督が行ったとのことで、他の3氏が約30分ずつの発表を行う形。
ゆえに青山監督は司会進行および各パネリストに対するコメント発言に従事していて、氏の山中貞雄に対する詳細な考えを聞くことが出来なかったのは残念であった。


発表順に、まず廣瀬氏はそのトリッキーな話術と、『河内山宗俊』に顕著に観られる背中への指摘が興味深かった。
全くの余談だが、お隣の青山氏と髪型、眼鏡、顔の輪郭が非常に似ていた。
クリス・フジワラ氏については通訳の方と噛み合わなかったのが残念。
西山氏は『河内山宗俊』の頃、山中貞雄が陥っていたと言われるスランプの原因について、作り手の立場から考察してみる、という発表であった。
4氏共に腕時計をしておらず、進行役の青山氏が総合司会の松本正道氏に腕時計を借り受けていたのが恐るべし、そこから3氏が「(自分の持ち)時間、まだ大丈夫ですか」と青山氏に尋ねるのがお約束となるという楽しいシンポジウムであった。


シンポジウムに続いて『河内山宗俊』のニュープリント上映。
事前の配布文章ではちょっと判りづらかったのだが、『河内山宗俊』についてはマスターポジが現存しておらず、
もっとも状態良好なのが日活ではなくフィルムセンターが所蔵する16ミリ上映プリントなので、そこから35ミリデュープネガを作成し、プリントを新たに焼いたということだそうです。
確かにラピュタ阿佐ヶ谷で上映した16ミリプリントより画像・音声共に良くなったと感じましたが、ノイズが全て消えた訳ではありません。


寿ぐべきは『丹下左膳余話 百万両の壺』、『人情紙風船』もやはりニュープリントが焼かれ、山中貞雄が応援監督を務めた『大菩薩峠 甲源一刀流の巻』(稲垣浩監督)、そして脚本作品『水戸黄門・血刀の巻』(荒井良平監督)、『戦国群盗伝』(滝澤英輔監督)、『その前夜』(萩原遼監督)と共に、計7作品が日本全国を巡回する、ということだと思います。
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