波影

ラピュタ阿佐ヶ谷 10:30 約50名(満席) オトコ8:オンナ2 <シネスコ/未ソフト化/お葬式>


豊田四郎監督『波影』(65年)は、前夜酒の誘惑を断ち早起きした甲斐のあった佳作であった。
私が観ている若尾文子主演モノは増村監督を中心とした大映作品がほとんどで、東京映画(東宝)の本作品はちょっと心配したのだが、よく喋り「不幸を感じない女」として元気に乗り切ってゆく。


全体としては「遊女モノ泣ける映画」に属するのだろうが、とにかく展開が速く嘆きに浸ってるヌルさはない。
文子サマが抜き手を切って溺れる春川ますみをレスキューするシーンあり、煙草を巡る絶妙のツッコミあり、伊藤憙朔の美術もお見事、お葬式映画としても『悲しみは空の彼方に』に匹敵する見応えありと、自信を以ってのオススメ作品です。