陸軍中野学校

  銀座シネパトス1 21:00 約30名 オトコ7:オンナ3
    市川雷蔵ファンと思しきオバサマ数名


VIRGIN TOHO CINEMAS六本木ヒルズで<市川雷蔵祭>が、
川崎ミュージアムで「若親分」シリーズが現在上映されている雷サマですが、
あえてシネパトスを訪れてみました。
(しかし最近の川崎ミュージアムのプログラムは事情アリとは言え、
韓国文化院所蔵作品連発など動員全ての姿勢アリアリで無残。
レンフィルム祭をやってた頃がついつい懐かしまれる)


天下の銀座が少し寂しくなり始めた辺り、
晴海通りに取り残されたような三角州にシネパトスはあります。
並びの店は大衆酒場やオトナのおもちゃ屋さんといういかがわしさ。
上映中にも容赦なく地下鉄列車の音が轟いてくる、
という昭和の香りを満喫できる劇場です。


これでモーニングは松坂慶子サマの『桃色』、
マチネ(メイン)は杉本彩サマの『花と蛇2 パリ・静子』
なんですから文句のつけようがありません。
これは皮肉ではなくエロでキチンと集客して、
レイトは好きなプログラムを組むという姿勢は本当に立派だと思います。
一時期シアター・イメージフォーラムもこの作戦を採用していましたが、
さすが御本家は周囲の雰囲気からして風格が違います。


さて『陸軍中野学校』については高橋洋さんの秀逸な批評
(『映画の魔』所収<誰がスパイなのか?>)を是非お読み戴くとして、
以下は批判をしたばかりで恐縮ですが内輪話になりますので、
関心のない方は読み飛ばして下さい。


私たちは映画美学校で行われた「映画上映専門家養成講座」の第一期生です。
監督や脚本家としてデビューを目指しているのではない。
また配給や宣伝をして生計を立てようとしているのでもない。
表舞台に立って評価を得られる訳ではないことを、
数ヶ月無給で取り組んで大入り満員でようやく収支トントン、
大赤字になるリスク負いながら継続しているというのは、
一般の方にはなかなか理解しづらいらしく時折変人扱いもされます。


ちょうど一年前の6月に私たちは第一回目の上映会を行いました。
陸軍中野学校』も正規軍や一般からは正当な評価や、
理解を得ているとは言い難い状態で、
ジェームズ・ボンドのような華やかさとは無縁に、
一年の養成期間を経て世界各国に皆が散ってゆく。
この陽の当たらなさ加減・苦い勝利具合に、
ついつい過剰に感情移入し、異様に燃えてしまいました。
まさにシネパトス(pathos)なのでありました。