桶屋&寝耳に水

eigahitokw2006-07-25


 大変お待たせしました、西山洋市監督『桶屋』と井川耕一郎監督『寝耳に水』の紹介です。画像は『寝耳に水』です。


『桶屋』
 目茶苦茶な変容を繰り返しながら、西山洋市は映画を分からないものとして撮り始めている。映画の中に世界全部を詰め込もうとしている。(中略)その混沌の果てに『桶屋』はある。 鎮西尚一(「シネマGOラウンド」パンフレットより)

 
「日本の古い諺“風が吹けば桶屋が儲かる”を完全映画化する」作品。
ウラオモテも性別もない今関(現:西山)朱子がとにかくキュート! ハチャメチャな人物たちに翻弄される宮田亜紀はいつもちょっぴり困り顔で、『月へ行く』とは全く異なった柔らかな魅力を発揮している。やがて『ソドムの市』(04年・高橋洋監督)、『INAZUMA稲妻』(05年)の凄みに辿り着くのかと思うと実に恐ろしい。
衝撃のラストをお見逃しなく!


 西山さんはですね、え〜良くわかりません…。
『グロヅカ』のメイキングでは森下千里に「シャイボーイ」と評されていました。
確かにシャイかも知れませんが酔っ払うとラジオ体操みたいな踊りを始めたりするのでよくわかりません。
声が低くてとてもシブいです。衝撃のラストで画面オフから届くのがこの人の声なのでお聞き逃しなく! 聞き逃した方はトークショーで堪能して下さい。


『寝耳に水』
 思いもかけぬアングルに目玉が置かれること、とりわけ視線が狭い隙間や小さい穴を貫くことに井川耕一郎が憑かれている 常石史子さん(「シネマGOラウンド」パンフレットより)


 サトウトシキ監督『迷い猫』(98年)の長曽我部蓉子出演。
死者への追憶が折り重なった、息づまる青春エロス映画。狂気が炸裂、してくれればまだ楽なのにチリチリとそこに在り続けている。祭りの終わりは甘くない。


『桶屋』と同じく諺シリーズとして発想されながら井川耕一郎の進む道は何と西山洋市と異なっていることか。西山洋市が風すさぶ荒野に立つのに対し、井川耕一郎はささくれだったタクトをくりくりと弄び、ふてぶてしく蒲団に寝そべっている。


 なんて言ってしまいましたが井川さんは今回の上映会に当たっても様々な配慮をされ、かつ実際に動いて戴ける、とてもフットワークの軽い方です。作品内容と実際のキャラクターは異なる、ということでトークショーをお楽しみに!