十三の桐

オーチャードホール 18:50 およそ450名 オトコ5:オンナ5


 母不在の父と女子高生の娘、1999年、そして娘が手にした物を壁に沿わせながら画面左から右へと移動する(『ルナ』?)と何だか『イザベラ』との予想外の共通点が多かった。


 ルー・ユエ監督作品は『趙先生』しか観たことがないが、大枠設定のみ脚本なしで撮影された前記作品同様、意図不明ながらはっきりと感じられる悪意が随所にかつテキトーにブン投げられている有り様が何とも痛快だった(本作は脚本あり)。観ていない方には何のことだか判るまいし、ネタバレとなるのだが日本で一般公開される見込みはないと判断し以下例を記しておく。


13歳とか17歳の時に少女にプレゼントされるのがアーミーや半月形のナイフ。
いつも娘を背後から殴りつける卑怯極まりない父親がプレゼントするのは円形ワイヤー入り張り出しスカート(中世か! どこに売ってるねん?)
少女の放屁がキッカケとなり初エッチに突入。


 必要だと思われる描写は省略しているくせに、悪意ばかり遍く存在している様はタダゴトではありませんでした。同監督のスー・チー主演作品『美人草』も観てみたい、海外DVDなら簡単に入手できるけどやはりスクリーンで! という訳で絶対一般公開されないであろう作品が大画面で観られるのが何と言っても映画祭の醍醐味なのであります。