白蝋城の妖鬼&バレンバン奇襲作戦

eigahitokw2007-01-15


シネマヴェーラ渋谷 17:10&18:30 約40→60名 オトコ9.5:オンナ0.5


同劇場の別の特集で『九十九本目の生娘』を観ることが出来なかった憂さ晴らしに同じ曲谷守平監督の『白蝋城の妖鬼』。新東宝製作なのでこれもB級映画ではあるのですが立派すぎるところはなく堂々たるトンデモ作品。


その中でも私が撃たれたのは説話方法と登場人物のキャラクター造型でした。70分という短い時間で江戸時代のひとつの藩が転覆するかどうかという一大事を解決しなければならないのに登場人物たちは実に鷹揚としております。ちょっと例を挙げましょう。悪の一味にさらわれた、黄金の鷹の在り処を握る娘で恋人でもある女を取り戻すべく白蝋城に乗り込もうとする若様(次男)と家来。その山中で火事を見かけたら何かあると駆けつけるべきだと小心者の私は思うのですが、「おや山火事ですね」とふたりは腰を下ろして弁当を喰い始める。更には腹が一杯になったら昼寝がしたくなったとかヌカしよる(その間丹波哲郎様、孤軍奮闘)。恐るべきことに本当に眠ったらしく「夢見も悪かったことだし」(ただし「夕べの」と言っている)と手ぶらで引き返してしまいます。何というムダ、あるいはゼイタクでありましょう。この一連の極めてレイジーな提案は家来がしているので、コイツ実は悪の一味なのかと勘繰りたくもなりますが全くそんなことはありませんでした。


狙ってやったのかどうかは知りません。いずれにしろなかなか出来ないことだと思います。あるいはこの作品をウケ狙いで真似ようとしたら悲惨な事態になること間違いなしという意味で機会がありましたらぜひ御覧下さい。


さて遅くなってしまいましたが21日ダグラス・サーク上映会での併映自主短編作品の発表です。
まず15:50の回は玉城陽子さんの『THE FRENCH KISS 2』(2003年/DV/15分)。
そしてそして17:50の回はサンドラ・ブロックスC氏の『ダグラス・サーク日記』(2007年/DV/約10分)。
『THE FRENCH KISS 2』はオトコとオンナの妖しい駆け引きをお楽しみ下さい。
ダグラス・サーク日記』は現在時点で未完成です。私も観ていないのですが、その構想に賭けてみました。
B級どころか自主制作ですが、立派すぎるのかトンデモ作品なのか、真似できない味わいがあるのか、ブーイングを浴びせるべきなのか、ご来場される皆さまのご感想を楽しみにしています。


画像は映画美学校近くのラーメン屋さん「しんせん」。凝ったつくりではなくむしろあっさりしている細麺の支那そば(600円也)はなかなかオススメなのですが残念ながら日曜定休でありました。