ラザロ

eigahitokw2007-04-23


なかのZERO視聴覚ホール 18:10 


2、3回お話させて戴いたご縁で井土紀州監督『ラザロ』(「蒼ざめたる馬」、「複製の廃墟」、「朝日の当たる家」の三部作)の試写にお招き戴く。この三部作はそれぞれ「蒼ざめたる馬」が京都国際学生映画祭、「複製の廃墟」が日大文理シネマ研究会、「朝日のあたる家」が伊勢映画人会との出逢いから生まれ、宣伝は法政大学映画団体協議会が協力しているという、非商業での映画の制作・配給のあり方を提示するものだ。


その意味から『ラザロ』の第一回試写が、なかのZEROという公共施設で行われるのは、井土監督が10年くらい前に法政大学でシアターゼロという上映活動を行っていたこと(機会があれば別途記します)を併せ、極めて正しい選択だと思う。


作品は怪物的ヒロイン=マユミの犯罪ぶりからその誕生に遡って描いている。青春恋愛、刑事もの、ホラーと続く連続活劇として三部作計201分、一気に楽しめた。3作品に共通して出てくる行為があるのだが、それが何で誰と誰の間で交わされるのか、ぜひ想像しながら観て欲しい。


スピリチュアル・ムービーズを中心としたこのチームは、「複製の廃墟」で描かれる、偽札を自分たちで使用するのではなく、他者に大量配布することによって日本経済を価値紊乱に陥れようとする犯罪者の姿と何やらダブって見える。いわく「偽札の被害者って誰なの?」。それは愉快犯と呼ばれるかも知れない。しかし愉快犯の内実とは決して愉快なものではない。井土氏たちがゼロなのはブレないからではない。X軸Y軸に沿うことなく絶えず上下左右に動き続けているから、それをゼロと呼ぶしかないのだ。


初日はまだ確定していないが7月7日または14日よりポレポレ東中野でロードショー公開されます。名古屋シネマテーク、大阪・第七藝術劇場、広島・横川シネマ他でも公開予定だそうなのでお楽しみに。例によって画像は本文と関係なし。


※本文中の団体名に誤りがあったので訂正しました(5月10日)。申し訳ありません。関係者の皆様大変失礼致しました。