映画美学校映画祭第3日目

14:25より 40〜60名で入れ替わり オトコ6:オンナ4

映画美学校映画祭第3日目は所用・雑用に追われBプログラムから参加。
大橋礼子監督『beautiful day』は鎌倉で撮影された作品で、もっと観続けたいと思ったが10分という長さは賞に応募するための規定だったそうだ。
千浦僚監督『電気羊の…。』は、記憶の重みによって人間が自殺するならば、記憶を失った・ループしてしまう人間は自殺はしないということか。
尾崎由馬監督『the beat goes on』はオヤジロッカーとして今時の若者に向けてのコメントが面白かったです。


Cプログラムは遠山智子さんの2作品。『アカイヒト』でひとつの極みを示した遠山さんが次をどう展開するのか、いちファンとして注目するところ。その点から興味深かったのは15分のフィクション『水の娘』ではなく75分のドキュメンタリー『森のさわさん』だった。詩人・沢すすむさんがバンドを結成し、CDを制作する姿を追ったものだが、配布された資料からすると遠山さんは以前から沢さんと面識があった訳ではなく、沢氏サイドによるいわば注文仕事のようだ。その文脈にして曲を丸ごと聴かせることなく、配布資料も含め「さわさん」と平仮名表記を貫く姿勢は恐るべし。更にインタビューする遠山さん自身のあの凛とした声も聴けない(僅かに笑い声が聴こえるだけ)というストロングスタイル。ちなみに『水の娘』に出演した女性にその演出ぶりを伺ったところ、実に合理的とのこと。Aが無理ならBにすぐ切り替えるそうで、こちらが勝手に抱いていたイメージも崩されました。


Dプログラムは中井友昭監督『通り魔は通りでしか人を刺さない』は同監督の前作『ENCLOSURE』同様サスペンスながら前作が不在を扱っていたのに対して、居続けること・居座ることを描いている。舞台挨拶で「神戸は撮影環境が良い」と仰っていたが、規制が緩く、作品に無関係のロケ先の人々も協力的だそうだ。主演の平原夕馨さんは大阪CO2で女優賞を受賞した方なんでしょうか(コチラ黒沢清氏のコメント付)。


Eプログラムは中矢名男人監督『sad girl』。前作、やはり英小文字表記の『out of our tree』のコメディから一転シリアス、記憶ではなく「なんとなく」という気分で自殺する時代の若者たちを描いた作品。ふわりふわりと浮き沈みしながら進む自動車のシーンに眼を奪われる。監督本人に確認したところ、スクリーンプロセスではなく実景だそうで、なんとも不思議。