「粘土のお面」より おかあちゃん

ラピュタ阿佐ヶ谷 17:00 約25名 オトコ8:オンナ2 <ビンボー>


「昭和家族百景」より中川信夫監督『「粘土のお面」より おかあちゃん』。
1961年製作のこの作品は昭和24年(=1949年)の大晦日から話が始まる。
つまり他人の戦争で儲けた朝鮮特需直前の、日本が最も貧しかった頃だ。


チラシには16ミリで上映と記されていたが、行ってみたら35ミリでの上映であった。
この作品はシネスコであり、16ミリだと天地が切れてしまうので嬉しいサプライズ。
プリントも綺麗で、そのシネスコの端から端までビンボーが余すところなく正面から映し出されていた。
ただし、ぞうきん屋なんて稼業がこの時代でも成立したのかは、ちょっと怪しい。


過剰演技で好悪が分かれるだろう伊藤雄之助だが、本作では設定が限界状況だけにそれほど浮いていない。
むしろ雄之助の顔が「粘土のお面」に映っているシーンすらあった。


生活に行き詰った伊藤家の人々が、何に力を得て前へ進んでいこうとするのか、
その意味から立派なビンボー子沢山映画であった。