西山洋市監督紹介

上映作品ご紹介第2弾の前に。
山中貞雄作品を御覧になったことがないという方は、西山洋市作品も御覧になったことがない、という可能性が高いと思われるので、ここで西山洋市監督をご紹介。


現在アテネ・フランセ文化センターにて21世紀の重要作品を特集している「映画の授業 現代映画篇」ではオリヴェイラキアロスタミフィリップ・ガレル、ストローブ&ユイレ、ワイズマン、ペドロ・コスタ王兵らと並び、日本代表として選抜されています。西山作品を体験した者にとっては納得のラインナップなのだが、観ていない方にご紹介なのですね…。(西山作品は6月3日水曜日の上映です、コチラご参照の上ぜひどうぞ!)


略歴や監督作品などはコチラをご参照戴くとして、さて。
どうも一筋縄には行かないというか、ひとくせもふたくせもあると言うか、簡潔に紹介するのが難しいのですが、誤解と失礼を恐れずに特徴を言わせて貰うと「人を食っている」でしょうか。
洋一から洋市へと改名した際の『桶屋』(01年)とは「風が吹くと桶屋が儲かる」という諺を完全映画化した作品、でも「人をバカにしている」とは断じて異なります。


その改名が、特権的な継承を放棄し、他者との交流を選択した、のかどうか知りませんが、『蜘蛛の瞳』(黒沢清監督・98年)、『月光の囁き』(塩田明彦監督・99年)の脚本担当と、自身でホンが書ける人なのに、他者に脚本を委ねるスタンスに移行してゆく。
その初期はコメディを基調としたものだったのが、近年正面から愛を描き出すと共に笑いより凄みが増して来ている、というのが私の理解です。
「人を食う」も比喩ではなく次第に内容として食い始めている、ヒトの存在を脅かしている。
氏は時折、歯を剥き出しにして顔の下半身に妙な動きを見せるのだが、あれは「人を喰う」準備体操なのではないか…。


脅かしてスミマセン。
立派とか、いい人という形容は似合わない気がしますが、グレイトで一緒にいると楽しいことが起こります。一度監督とふたりで2時間くらい飲み食いして、お会計が690円でした。
西山さんは「そんな(安い)はずはない」と言い、店員のメガネ娘は高いと言われていると思い込み、半ベソ状態で「間違いありません!」と言い張る。
金銭が絡んだ何やら山中貞雄的取り違え、そのやりとりを目の当たりにした私は危うく悶絶死しそうになりました。


基本大らかな方です。自主制作した『エルビスの娘』と『信じかたを教えて』は傑作の呼び声高いのですが、作品素材が現在行方不明です。所在をご存知の方がいましたら是非御一報下さい。


声が素敵だと思います。ぜひトークにいらして聴いてみて下さい。トーク後には間違いなく呑み会があるので、おひとり様でも遠慮せずご参加下さい(実費ですけど)。
トークの日は予定があって行けないという方、上映2日目以降トークのレジュメを配布する予定です。どうぞご参考にして下さい。
6月3日、アテネフランセには行けないという方、レンタル店に置いてある可能性が高いのは、『稲妻ルーシー』(佐藤仁美主演)、『運命人間』(豊原功補主演)、『グロヅカ』(森下千里主演)あたりだと思います、ぜひ御覧下さい。


現在、演出をしてみたい役者さんを伺ったら、田村正和ケイト・ブランシェット、そして朝青龍を挙げてくれました。もちろん本気度100%です。
ケイト・ブランシェットの愛を田村正和朝青龍が存亡をかけて巡る活劇、そんな作品を観たいと思われる方、まずは阿佐ヶ谷にお越し下さい!