よるのくちぶえ

ユーロスペース2 21:00 約140名(ほぼ満席) オトコ5:オンナ5


東京藝大修了作品より遠山智子監督『よるのくちぶえ』。
冒頭のバス車内は走行中にもかかわらず揺れておらず、また人物の背景が画として飛ばされているカットが幾つかあった。
写実的であるよりも抽象性を高め、現実を揺さぶろうという意志を感じた。


ただ遠山智子作品の多くに接している私にとっては、どうにももどかしかった。
それは第一に脚本を書いているのが本人ではないという点に因る。
その内容が遠山さん独特の世界に重なる部分がありつつ、やはり距離感があり…。


東京藝大が目指すもののひとつとして、他者の書いたホンでもキチンと映像化するというものがあるようだ。
ならば見当違いの要求かも知れない(しかし『ラッシュライフ』で最もキチンとしていたのは、間違いなく遠山監督の第2話であった)。
更にご本人がそんな形を望むかどうかも知らないが、私は遠山智子氏が監督・脚本・主演を務めるストロングな作品を観てみたい。