肌の隙間

 ユーロスペース1 21:00 約75名 オトコ6:オンナ4



ひきこもり、自閉症、近親相姦。
カネ貰っても観たくない三題話といった趣きですが、
瀬々敬久監督の『肌の隙間』、素晴らしかったです。


<ただならぬモノ>、映画に限らず大抵の作品とは他との差別化を図り、
こうであることを目指しているのですが、これが難しい。
全くの<ただごと>しか映らなかったり、あるいは痛いくらいわざとらしかったり。
CGでそれを作ろうとしたり、スターのオーラを用いて現そうとしたり、
あるいは長い日時をかけて求めてみたりという方法が一般的です。


『肌の隙間』はそうした方法を用いることなく、
冒頭からラストまで、ただならぬ雰囲気に貫かれた稀有な作品でした。
是非御覧戴きたいのですが明日(17日)で終了です。


そう記すと女性客を遠ざけるという配慮からか、あまり告知されていませんが、
本作は国映と新東宝映画製作という、れっきとしたピンク映画であり、
昨年12月に公開されたものが好評だったゆえの再映です。
そしてラスト前日という事情からかも知れませんが、
お客さん入ってました。満席です。
20人くらいかなと勝手な予測を立てていたのですが、外れて大喜びです。
立ち見でも、ピンクでも、ひきこもりでもいいじゃありませんか!
都合のつく方は駆けつけて下さい。


驚きがもうひとつ。
テロップで知ったのですが録音助手に黄永昌さん。
2月の<知られざる韓流>上映会でキム・ギヨンの『死んでもいい経験』
と併映した『一周忌』の監督です。
<全編同時録音、現実音のみで一切の映画音楽なし>という現場は、
さぞや緊張感あふれるものだったでしょう。


そしてやはりその時『ハルモニ』を上映した呉美保さんから連絡を受けました。
サンダンス・NHK 国際映像作家賞受賞作品ですが、
この秋から撮影開始で、岸田今日子さんが出ているのは前年度の受賞作であること、
また作品タイトルは近日中に変更されるとのことです。
訂正すると共に確認不足をお詫び致します。