野村芳太郎レトロスペクティブ

三百人劇場 15:20 約100名 オトコ7:オンナ3 年齢層高し


野村芳太郎レトロスペクティブより『モダン道中 その恋待ったなし』(58年)と『観賞用男性』(60年)。
野村芳太郎監督というと『砂の器』の重厚なイメージが強いのだが、
『その恋待ったなし』は「ここまではロケーション、ここからセットです」などという、
ネタバレ・ナレーションが当時の松竹城戸社長を激怒させホサれたという軽妙なラブコメ
その謹慎が明けた『観賞用男性』もパリ帰りのデザイナーが男性に次々と奇抜なファッションを提唱する、というナンセンス・コメディで反省の色なし。
そのハチャメチャ振りを実際にご覧頂きたいが、同時にそこまでしてもまだスタジオシステムが機能している時代なので簡単には映画は壊れない様も観て欲しい。


この三百人劇場、建物老朽化のため今年いっぱいで閉館してしまう。
西部劇を持ち味としていた大塚名画座が閉館したのは87年だそうでかなり昔の話だが、
これで池袋以東、山手線は上野まで映画館がないという、
東京でも過疎が進行している事態に真剣に脅えるべきだと思う。


ところで三百人劇場での映画上映・配給に当たっていたオフィスサンマルサンに以前問い合わせをしたことがあるのだが、どこの馬の骨だか判らんイチ書生に懇切丁寧に応じてくれたばかりでなく、励ましの言葉まで戴いたことをここに感謝し、五百人劇場か千人劇場として帰って来てくれるよう期待してお待ち致します。