夜の足跡

eigahitokw2006-07-10


これから8月19日の上映作品を徐々に紹介して行きます。
基本的にネタバレは避けていますが段落ごとに危うくなって行きますので、
気になる方はレヴェルに応じてストップして下さい。
ではまず万田邦敏監督『夜の足跡』から。


『夜の足跡』38分/16ミリ→βカム/2000年
監督:万田邦敏 共同脚本:大城宏之 出演:境利明/浦工典


よもやそんなことは起こるまい、と誰もが油断しきっていたある領域を万田邦敏が蹂躙し始めるのだ。『夜の足跡』のリアルは、そのようにあまりに過激で加減を知らないかのようだ。 青山真治(「シネマGOラウンド」パンフレットより)


監督は『宇宙貨物船レムナント6』(96年)、『UN loved』(02年)、『ありがとう』(11月公開予定 主演:赤井英和 田中好子)の万田邦敏
印刷工場で働く青年の元にある日数年来会っていない11歳の弟が突然やって来る。しかし弟は決して兄を許そうとはしない。その理由とは…。
フランスでもテレビ放映された作品。二人の人間の距離・位置関係、それを捉えるカメラの動き、脚本・台詞(好きな女性から何と言われたら最も傷つくか?)、手の演出、繊細にして大胆、息詰まる万田マジックを存分に堪能あれ。


極めて個人的に労働の風景をきちんと描いた映画が好きです。この作品では主人公が働く印刷工場が深く残りました。パソコンではなくタイプライター的ないわば前近代的な機械を用いる工場なのですが、う〜ん良い。私は万田監督の現場に立ち会ったことはなく、知り合ってからの日も浅い人間ですが、語弊を省みずに言うと万田監督もこの工場でのように、手を抜かずひとつひとつきっちりと詰めていく、という感じなのかなと想像いたしました。


と言いながら別プロジェクト「マンダ教十善戒〜あなたの××が見たい!〜」もお手伝いしています。新作『ありがとう』公開の祝賀(?)イヴェントとして11月12日(日)に同じ映画美学校の1Fで上映。万田監督を始めとする十人のサムライたちの新作短編集です。
こちらも詳細が決まり次第お伝えしますので、お楽しみに!