わんわん忠臣蔵&デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!

シネマヴェーラ渋谷 17:00&18:35 9名→約50名 オトコ:オンナ=8:2→5:5


 話はいきなり『デジモン〜』(細田守監督)終映時から。40分ちょっと前に入場したばかりの20代男女数十人が荷物を持ってゾロゾロ帰ってゆく。遡って『わんわん忠臣蔵』(白川大作演出)開映時にもやはり10人単位が劇場を後にしていた(上記データご参照)。
 かなり高い確率でこの人たちは作品ごとの入替なしというシステムを知らないのだと思われる。私が劇場で偶然お会いした20代前半女性のアニメーション作家は「続けて見られるんですか?」と驚いていた。更には「じゃあムーミン(=モーニング)からずっと続けて見られたの?」とも訊かれた。


 名画座というもの自体を知らない、モーニング、マチネ、レイトという区別もついていない。私はこのことを嘆こうとは思わない。今や1作品のみの上映でも各回入替制というところが沢山あるし、一方名画座なんてほぼ絶滅しているのだから、若い彼・彼女たちが次の作品は別料金だと思い込んでいても何の不思議もない。私はシネマヴェーラの職務怠慢、驕りこそを問い質したい。


 今回の特集では従来とは異なった新たな観客層の開拓を目指したはず。ならばニューカマーに対してなぜ入替・休憩時間なりチケット購入時に、当館は入替なしだというルールをアナウンスしないのか。チラシや劇場階段付近に明示してある、というのは言い訳にならない。そんなところに誰も眼を留めないことはいやしくもプロの上映者なら熟知していること。


 彼・彼女たちは『デジモン〜』にしか興味がなく、たとえ『わんわん〜』が無料であると知っていても大半は帰ったのかもしれない。残りの少数も、要するに仲間が集まって敵を倒すという意味で同じ話に倍の時間をかけている『わんわん〜』(82分・63年。『デジモン〜』は41分・2000年)をタルく古臭いと感じ途中退場したかも知れない。それは仕方のないこと。でもお目当てではない、もう一方の作品を見せることによって拡がりをつくること、その組み合わせの妙に賭ける、億単位のバクチをあなたたちは張っているのではなかったのか? 劇場名が単なるシネマヴェーラではなく「シネマヴェーラ渋谷」なのは、いずれシネマヴェーラ新宿とかシネマヴェーラ松戸、茨城とか島根、どこまで拡がっていくのかは知らないが大いなる野心の表明ではなかったのか? でも細心の(とも思わないけど)気配りが出来ないのなら、それは諦めた方が良いでしょう。


デジモン〜』開始前には客席で「わたし台詞全部暗記した♪」とか会話が交わされていて、デジモンポケモンとはどう違うんだ? などと考えていた私は身が縮みあがった。それが終映時に「大きな画面で見ると違うね〜!」という感嘆があちこちであがり、他人事ながら嬉しく感じただけに今回のシネマヴェーラの対応には大いに疑念を感じる。幾ら受付の女性が美人だからって容赦することなく、厳しく問い質したい、いやマジで。