風櫃の少年

シネマヴェーラ渋谷 17:55 約80名 オトコ7:オンナ3


 この日は青山ブックセンター蓮實重彦氏のトークが、池袋ジュンク堂黒沢清、篠崎誠両監督の対談があり、この対談はどんな人たちが来るのかなという興味とデジタル素材から35プリント上映への変更を祝して、中原昌也・上野昂志両氏の対談+ホウ・シャオシエン監督『風櫃の少年』へ。さすがに通常より観客多く、スタッフも準備に忙しそうなので質問はまたの機会にしてロビーを見渡す。4日の日記にm-aboさんにコメント戴いたように『戯夢人生』素材変更についての掲示はすぐにみつかった。その他作品の変更についての掲示もあったのだが観客が多かったせいか、あまり目立たない…。


 さて対談。中原氏に上野氏って話噛み合うのか? という危惧を抱いていたのだが、これがほぼ的中した。中原氏が気を遣っているのがありあり伺え、持ち味であるヤケッパチな踏み込みがほとんど見られず。「実は『フラワーズ・オブ・シャンハイ』観てません」とか「エドワード・ヤンの方が凄いと思っていました」という正直者ぶりは発揮していたけれど。


 ふたり揃って新作の『百年の恋歌』を絶賛していたのは措くとして、中原氏がオススメとして挙げていたのは『風が踊る』。青春映画の大傑作で、現在の日本でもこの題材は撮られているが、全くこの作品の域まで達することができていないとのこと。上野氏は『憂鬱な楽園』。『悲情城市』で一旦完成した作風を崩しにかかった、そのバランスが魅力、とのこと。


 さて『風櫃の少年』。私はこの作品を見るのは二度目。初めて観たのは90年4月に渋谷パルコ、スペースパート3にて、ぴあ主催で行われた「侯孝賢映画祭」。ちょっと長くなってしまったので、この映画祭については後日記します。