キムチを売る女

シアター・イメージフォーラム 16:10 約25名 オトコ4:オンナ6


 すっかり下火になってしまった韓流ですが、なおかつ定期的に関わり続けるイメージフォーラムは素直に大したものだと感じます。「韓国アートフィルム ショーケース」のトップバッターは世界各地の映画祭で数々の受賞を果たしたチャン・リュル監督『キムチを売る女』(この日最終日)。


 残念ながら私には全くピンと来ませんでした。カメラに壁が正対し奥行きを消したシンメトリーという構図が多様されていて、まあそれは意図的なんでしょうが、そもそもカメラの位置やアングルが間違っているとしか感じられない。台詞や説明も排されているが、これまたそもそもそんなものがなくとも了解可能なありきたりの出来事しか起こらないので驚きはない。

 
 一番大きなそもそもとして主人公の女性が全く魅力的でなかった、なぜならガッツがないから。32歳のくせに元々自分のものを相手の言い値で値切りもせずに買うし、息子との約束をトボケて反古にする術も知らない極めて退屈な女。んなことでキムチ売れる訳ないだろ、ビジネスなめんな、ボケ! ちっとは『孔雀』のチャン・チンチュー見習えよ。


 という次第で主人公がどんどん不幸になろうとも全く心の動かなかった私だが、ひとつ疑問があった。それは若く美しい婚約者のいるイケメン警官が主人公に惚れること。まあ色恋なんて謎だらけなんだから、うっちゃっておけば良いのかも知れない。しかし警官の婚約者が主人公を遥かに凌駕する恐るべく退屈でアホな女だから、という理由だとしたら私は断然そっちのお話の方が見たかった、悔しい。


 思ったこと書き連ねているとウチの上映会の女性率が低下しそうなのでこのくらいにしておこう。「韓国アートフィルム ショーケース」ではラストバッターのホン・サンス監督『映画館の恋』に期待してます。こちらの作品、配給協力はダゲレオ出版+マジックアワー。『気まぐれな唇』、『女は男の未来である』とホン・サンスを支えてきたビターズ・エンドさんに、ついに限界が訪れてしまったのでしょうか。